それ、領収書お願いね
個人事業主や、会社役員さんが、買い物をした後や飲食をした後に、店員さんから領収書をもらっているのをよく見かけます。
これは、その出費を事業の経費にするためにやっています。
ただし、結論から言うと、領収書をもらえれば経費になる、という事実は法律上はありません。
言い換えると、領収書がなくても経費とすることを諦める必要はないのです。
ただし、何も証明するものがないのに、何でも損金や必要経費にしていいのかというと、実務上そんなわけにもいきません。
そんなことをしたら必ず不正が起きてしまうため、企業の内部統制上の問題が生じるし、仮に不正が起きなくとも、税務調査等で疑いをかけられた場合、反証ができないという税務上の問題が生じるからです。
そのため、個人事業主や会社役員さんたちは、なるべく領収書をもらい、もらった領収書は定められた期間、保管しているのです。
なお、領収書を入手した場合は、それを一定の間、保管する義務が発生します。
では、領収書がもらえなかった場合どうすればよいのでしょうか。
支払証明書や出金伝票を作成する方法があります。
支払には、もともとその性質上、領収書がもらえないものがあります。
たとえば、駅の券売機で買った切符、祝儀や香典などがその例です。
そんな時は、会社や支払った社員本人が作成する書類で証明するしかありません。
もし、領収書のない出費がある場合は、泣き寝入りせずに、経理の担当者に相談しましょう。
ただし、消費税は別です。
消費税を納めなければならない課税事業者の場合、領収書は一定額以上のものは必ず必要になります。
消費税は、事業年度ごとに、事業として受け取った消費税と、支払った消費税を相殺し、差額を国に納める(もしくは還付を受ける)ことになります。
ところが、3万円以上の支払いをした場合は、やむを得ない場合を除き、領収書がないと消費税を払ったとは認めてくれません。
つまり、領収書の有無で税金上の取り扱いが分かれることが明確なのは、消費税なのです。
領収書の正しい書き方
領収書は、支払い先の情報、支払った日時、金額、支払った目的、発行者の情報が記載されていれば大丈夫です。
ただし、消費税法で、飲食店業や小売業など不特定多数と取引をする者は、支払い先の記載までは不要とされています。
領収書の収入印紙を割印するのはなぜ!
収入印紙とはそもそも何か、これは印紙税法による納税の手段です。
印紙税は、文書にかかる税金です。
そのため電子データにはかかりません。
印紙税法では20種類の文書を、税金の対象として定めていて、領収書はその17番目に規定された文書になります。
ただし、医師などが作成した、営業に関しない文書に該当するものと、5万円未満の支払いの領収書は対象外です。
収入印紙に割り印をする理由は、再利用防止のためで、印紙税法の上では、この割り印は消印と呼び、印紙を貼る上で義務となっています。
印紙税は、収入印紙を文書に貼りつける方法で納税することができます。
ところが、割り印がなければ、剥がしてそのまま持っていくこともできてしまいます。
そのため、割り印をする必要があるのです。
また、印紙税法上、消印の場所も、「その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならない」となっています。
つまり、文書と印紙の緑色の部分にかけて消印してください、ということです。
ただし、金額に消印がかからないように注意しましょう。
印紙税の納付が認められなかった場合、過怠税として、その文書に必要な収入印紙の額の2倍を国に納めなければなりません。さらにもともと必要だった収入印紙代も支払わなけ
ればならないため、結果的に3倍の印紙代がかかります。
くれぐれも印紙税の納税は忘れないようにしましょう。
まとめ
領収書がなくなっても、経費にする方法はあります。
泣き寝入りしないようにしましょう。